接骨院整骨院の物販

2024年(令和6年)3月3日に実施された第32回柔道整復師国家試験の結果が3月26日に発表されました。今年の合格者数は3,337人。受験者総数は5,027人でしたので、注目された合格率は66.4%と例年並みになりました。この結果を見てホッと胸を撫でおろしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ともあれ柔道整復師の数や接骨院整骨院数が増加している昨今。どのデータを見ても相変わらず厳しくなる一方の施術所経営にあって、先立つものを確保するために頭を捻っている事業者の方が多いと思われます。そんな中、物販の展開は売上の確保に効果的であると言えます。

一口に物販と言っても接骨院整骨院での物販の方法は2つに分けられます。それは「治療の補助としての物販」なのか、「経営を助ける売上を期待しての物販」なのか、です。前者の商品なら施術の流れで自然に勧められる商品ですから、努力して売り込まなくても何となく売れちゃいますよね。つまり、なるべく施術と親和性の高い商材ならばスムーズに販売する事が出来ます。

ただ後者の物販の場合、黙って受付の横に商品を置いておくだけでは、よっぽど話題の商品でもない限り手に取ってもらってお買い上げいただくのは難しい話です。柔道整復師さんや鍼灸師さんは施術に自信は有っても、物を販売する経験は少ない方が大多数でしょう。でもちゃんと商品の魅力を説明出来なければ中々購入して貰えません。さあ、どうしましょうか。

物販をする上で参考になるのは、例えばドラッグストアです。店内に入ると目に飛び込むのは商品に掲げた色鮮やかなPOPです。POPとは「Point of Purchase」の略語で「購買する場所」の意味です。実際、良いPOPは購買意欲を加速させるというデータがあります。このPOPは販売元が用意する場合もありますが、店のスタッフが心を込めて手書きしている物もよく見かけます。なぜかつい読んじゃうんですよね。

それはもちろん売り上げの為に用意している訳ですが、キチンと商品の内容を理解していないと説得力は出ません。その商品に対する愛情がPOPから溢れ出しているからこそ自然と目に留まるのです。もっとも最近は「やりすぎでしょ」と苦笑いする物も見かけますが。

また、商品を患者さんに「お試し」頂くのも効果的です。コルセットやサポーター等を数日間貸し出すことによって、その商品の良さや使い勝手を肌で感じて頂く。「貸出し」と言う形を取る事により通院の離脱も防げます。待合室の棚などに何となく置いてある商品を興味ありげに眺めている人がいたら笑顔で話しかけてみましょう。本当にただ見ていただけかも知れませんが、話しかけることによってその後の何かに繋がるきっかけになるかも知れませんよ。

ただし接骨院整骨院では「販売出来る物」と「販売出来ない物」があります。医薬品・医療機器の販売は法令により許可と資格が必要ですので、それらが無いと販売出来ません。

販売出来る物は、

・サポーター類

・コルセット類

・クリーム類、医薬部外品のシップや健康食品等の「健康」に関連した商品です。

それに対して販売が出来ない物は、例えば「第二類医薬品」、「家庭用医療器具」等、「医薬品」や「医療機器」と名の付く物。これらは販売も授与も出来ないので注意が必要です。

ところで「物販を始めたいけれど、どんな商材を扱えば良いのかわからない。」とは皆さんが思っている事ですよね。既に昔からの出入り業者さんや飛び込みの営業さんが話を持って来て、様々な商品が受付の辺りや待合室の整理棚に溢れているでしょうか。マージンも最初は言いなりの設定ですが、次第に交渉が出来るようになったりインセンティブが発生したり、駆け引きが発生して来ます。それを楽しむ余地があるか、面倒くさくなって任せっ放しになってしまうのか、どちらのタイプでしょうか。

 接骨院整骨院の本業はあくまでも「施術」です。ただし先に申した通り競争が激しい現在、少しでも売上げは伸ばしたいものです。ご自身の創意工夫によって上手に活用出来れば「物販」は確実に経営に貢献するでしょう。まずは出来る範囲から始めてみるのが良いのではないでしょうか。


「教えて! tillers」は求人マッチングサイト「ティラーズ」がお送りするウェブコラムです。柔道整復師、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師の「はたらく」を考える情報をお届けします。