初めて人を雇ってみた③ 海外事情編

訳あって一緒に接骨院で働いてくれる人を探す事になったんだけど、そもそも日本には柔道整復師の資格を持った人ってどのくらいいるんだろうか。いや、確か「柔道整復師」って日本でのみ認められた資格だったな。じゃあ海外には柔道整復師みたいな仕事は無いんだろうか。ちょっと横道にそれるけど、気になるから調べてみよう。

柔道整復師は2002年にWHO(世界保健機構)伝統医学総会で「 Judo therapy(ジュードー セラピー) 」として認知された。まだ国際的な認知度は低いけれど、新たな施術方法として海外で期待が寄せられているらしい。ただ海外で柔道整復師として働く場合は国によって事情が違うので注意が必要になる。例えばアメリカでは日本で言う柔道整復師として働くことは出来ない。

アメリカで医療系の仕事をするにはその為の資格を取る必要があるけど、アメリカには柔道整復師という資格は無い。でも鍼灸師の資格は有るから、NCCAOM(鍼術東洋医学国家資格認定委員会)のテストを通れば鍼灸師として働ける。つまりアメリカでスキルを活かした施術を行いたいなら鍼灸師など他の資格を取得してから開業する事になる。

現状、アメリカでは特にカリフォルニア州やニューヨーク州で鍼灸が活発に行われていて、国全体で約3万8千人の鍼灸免許保持者がいる(2018年)。ただアメリカでは州によって法律が異なるように、鍼灸の概念や業務範囲など州によって異なり、鍼灸の専門教育についての統一の基準・規制は無い。NCCAOMの試験科目も州によって違ったりもする。また、鍼灸師の免許は有効期間があって、更新料を払い免許を更新しなければ無効になるんだって。

その他、国によっては施術にあたって資格不問の所もある。柔道整復師のスキルを活かして働くにしても海外で新たに資格取得って大変だから、もし行くのなら資格不問の国が良いのかな。まあ、行かないけどね…って何を考えていたかと言うと、そうだ求人の話だった。そもそも日本には柔道整復師の資格を持った人ってどのくらいいるんだろうか。

厚生労働省の「令和2(2020)年衛生行政報告例(就業医療関係者)結果」(令和4年1月24日公表)によると、令和2年末における柔道整復師の就業国家資格者数は(これは国家資格を持っているけど就業してない人は含まれていないので現実的な数なんだけど)、75,786人。柔道整復の施術所は全国に 50,364カ所。だから1院あたり、1,50人って事になる。

10年前は1.33人だったから施術所1院当たりの就業柔整師数は徐々に増えている。理由は幾つかあるけどここ数年だとやっぱりコロナによる廃業・閉院の影響が大きいんだろう。あと2018年に施術管理者の要件が改訂されたことも大きい。総じて大手接骨院に人が集まる傾向があるみたいで、個人規模の接骨院には厳しくなっているんだなあ。

さて求人しなきゃ。柔道整復師の資格を持った人が働きに来てくれるには一体どんな呼びかけをしたら良いんだろう。接骨院の壁に張り紙でもしとくか。新聞に折り込み広告を入れる?いやいや、今やインターネットを使うべきでしょう。スマホかな。どんなやり方が一番効率が良く、優秀な施術者が来てくれるんだろうか。教えて、ティラーズさん!


「教えて! tillers」は求人マッチングサイト「ティラーズ」がお送りするウェブコラムです。柔道整復師、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師の「はたらく」を考える情報をお届けします。