初めて人を雇ってみた①

あまり悩まずに柔道整復師という仕事を選んでいた。小学生の時に草野球のクロスプレーで捻挫して大きく腫れてきたので親に見せたら近所の接骨院に連れて行かれた。「接骨院」と言う響きが怖くて、目の前にいる先生に叱られると思いベソをかいていたら「すぐに治してやるからな」と優しく言われて、ほっとして涙がポロポロ出て来たのを覚えている。

手に職をつけたかったし、人に何かをして喜んでもらうのが嬉しかったから、そしてあの時の先生の顔が忘れられなかったから柔道整復師の道を選んだ。色々あったけど、好きな道だったから歩んでこれたと思う。就職できた接骨院の院長にも良くしてもらえたし、同僚にも恵まれていた。仕事は大変だけど、大変じゃない仕事なんか無いはずだから。

ところがその院長が急逝し、そこそこ忙しかった接骨院を一緒に継いだ同僚たちも次々と故郷に戻り、あっという間に一人になってしまった。しばらく一人で切り盛りしていたが周りのアドバイスもあって新しい人を雇ってみることにした。人を雇うなんて初めてだ。自分に出来るだろうか。不安で一杯だけど、とりあえず調べてみることにした。

まず役所への手続きとして、施術管理者以外の勤務する柔道整復師の雇用には保健所と厚生局に届出が必要になる。保健所には「施設所変更届」を勤務後10日以内に届出をする。注意が必要なのは厚生局への届出で、勤務する柔道整復師の厚生局への登録は、原則日にちをさかのぼって登録することは出来ない。つまり「提出書類が厚生局に到着した日」が登録日になる。

雇用時にこの届出を忘れてしまうと、せっかく勤務した柔道整復師が施術した分の保険請求が出来なくなり、施術管理者になる際の実務経験期間が確認出来なくなってしまう事が有る。だから雇用の予定が決まったらなるべく早く動くようにしたい。

なお、直近の国家試験合格者を雇用するときは柔道整復師免許の登録手続き(新規登録)から気を配ってあげる事も必要になるかも知れない。柔道整復師とは厚生労働大臣の免許を受けて、柔道整復を職業とする者を言う。この免許は、柔道整復師法第8条の2第1項に基づき、柔道整復師名簿に登録することにより交付されることになる。

つまり国家試験に合格しただけでは、まだ条件を満たしていないので従事する施術者として届出をする事が出来ないのだ。だから合格が確認出来たら、すぐに免許登録の申請を行う必要がある。

次に雇用形態について考えてみる。正社員として雇うのか、アルバイト・パートとして雇うのか。両方ともメリット・デメリットがある。また、受付や先生の補佐など限られた業務範囲であれば無資格でも接骨院で雇用することは可能だ。

色々と考えねばならない事は多いけれど、ひとつひとつ解決して進んでいきたいと思う。

さあ明日は大切なお給料について考えてみようか。


著者:ティラーズ運営事務局

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