柔道整復師 開業の基礎知識 ①
柔道整復師は、日本における伝統的な医療職の一つであり、骨折、脱臼、捻挫などの外傷に対する施術を行います。彼らの施術は、医師とは異なるアプローチで、手技を用いた治療が主となります。開業することによって、独自の施術を多くの患者に提供する機会が得られますが、成功するためには適切な準備と計画が不可欠です。

柔道整復師は、骨折や脱臼、捻挫などの外傷に対して手技を用いて治療を行います。主に、整形外科的な症状に対し、手当てや固定などの施術を行うことで、通常の生活への早期復帰を目指します。整形外科医とは異なり、薬や手術を用いず自然治癒力を引き出す形での施術が特徴です。このため、患者からは「身体に優しい治療」として支持されることが多いです。
柔道整復師として開業するには、まず国家資格である柔道整復師免許を取得する必要があります。この資格は、指定された専門学校や大学で一定の教育課程を修了し、国家試験に合格することで取得可能です。開業にあたっては、免許取得後に施術管理者としての要件を満たすため実務経験が必要です。そして施術管理者講習を受講する義務があります。また、施術所を開設する場合には、各地域の保健所への届け出が必要となります。さらに、開業資金の準備や経営に関する知識も求められます。

柔道整復師が開業する際には、いくつかの法的要件を満たす必要があります。まず、施術所の開設にあたっては、施術所開設届を提出し、保健所による立ち入り検査を受けることが求められます。また、施術所の名称や広告に関しても法律による規制があるため、誤解を与える表現や過度な宣伝は避けなくてはなりません。さらに、医療機関としての業務が含まれるため、個人情報の保護や安全管理のための対策も義務付けられています。
柔道整復師が独立して開業することには、さまざまなメリットとデメリットがあります。メリットとしては、自分の理想とする施術方法を自由に実践できることや、施術所の運営方法を自分で決定できる自由があります。しかし、一方で安定した患者数の確保や経営面でのリスクマネジメント、集客のためのマーケティング活動などが求められます。また、開業後は多忙となり、施術や経営以外の業務に時間を割く必要も出てきます。

柔道整復師の市場は、少子高齢化の進展など社会的背景の変化によって影響を受けています。高齢者の増加に伴い、利用者は増える傾向にあるものの、競争も激化しています。また、健康志向の高まりから、スポーツ障害の治療や健康管理を目的とした利用者も増加しています。ただし、市場での競争力を維持するためには、柔道整復術以外にも幅広い知識や技術を習得し、差別化を図ることが重要となっています。
柔道整復師として開業するにあたり、まず考慮すべきは初期費用とそれに続く運営資金です。開業には様々な要素が関わるため、しっかりとした計画が重要です。特に立地は成功への重要な要素となります。患者がアクセスしやすく、需要の高いエリアを選ぶことで経営が大きく左右されます。今回は、開業資金の見積もりや資金調達、さらに立地選びのポイントについて深掘りしていきます。施術所の設備投資についても触れ、効果的なスタートを切るための指針を提供しましょう。

施術所を開業する際の資金見積もりは、どの規模で運営するかによって大きく異なります。基本的には賃貸料、内装工事費、機器や備品の購入費、人件費などが主な要素となります。それに加えて、広告宣伝費や運転資金も見積もりに含める必要があります。一般的な施術所の初期費用としては数百万から千万円単位が必要とされることが多く、事前に詳細な資金計画を立てることが重要です。特に内装や設備に対する投資は、患者の信頼を獲得するためにも適切な額を確保しましょう。
開業資金を調達する方法はいくつかあります。自己資金を用いる方法は、利子がかからず負担が少ないですが、多額の資金を短期間で用意するのは難しい場合もあります。そこで銀行からの融資や、日本政策金融公庫の小規模事業者向けの融資を検討することが有効です。また、自治体によっては医療関連の開業に対する助成金や融資のサポートを行っている場合もあるため、地元の制度を調査することもおすすめです。さらに、クラウドファンディングを活用することで、開業に対する支持を得ながら資金を集めるという方法も考えられます。

「教えて! tillers」は求人マッチングサイト「ティラーズ」がお送りするウェブコラムです。柔道整復師、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師の「はたらく」を考える情報をお届けします。