どうなる⁉「接骨院」と「整骨院」の名称

2018(平成30)年5月10日を第1回として、厚生労働省では「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会」が継続的に開かれています。

この第1回の議題は「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告の現状と課題について」でした。これらの広告について、社会保障審議会 医療保険部会から「適正化を行うべき」との指摘があり、都道府県等からも「広告可能事項の明確化」の要望があったことから検討を始める事になりました。

そこから有識者、施術団体、地方公共団体、保険者等を交えての議論が続き、第8回の2019(令和1)年11月14日に「広告ガイドライン(案)」の作成方針が示されました。そして第9回、2023(令和5)年2月13日の検討会では「施術所の名称について」が議題に上がっています。

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師の施術は「医業類似行為」と呼ばれ、国家資格が必要となります。しかし整体やカイロプラクティックなどは無資格でも開業しようと思えば出来てしまいます。実際、これらの無資格施術所に通う人から健康被害の報告が相次いでいます。そこで、適切な施術所を選べるようにガイドラインを作ることになりました。

今回、新たにまとまった「現行法令やガイドラインで認められない施術所広告の例」は以下の通りです。

①施術所の名称、表記については医療機関と誤解する恐れがあるため、「○○診療所」、「診療日」、「診察時間」等の「診」が含まれる表記は広告には使えない。

 ところで柔道整復師法では「ほねつぎ」か「接骨」と広告するように定められており、「整骨」は認められていません。柔道整復師の団体は「全国で約6割の施術所が『整骨院』の名称を使っている。今さら『整骨院の名称は使えない』と言われても困る」と主張してきました。

 この件に関して検討会では、「今後、新規の施術所には『整骨院』の名称は使えない。しかし既存の施術所に関しては移転や看板の架け替え等が無い限り、当面の間は名称使用を認める」と言う事で今回同意しました。

②医療保険については、すべての施術で療養費支給申請が出来ると誤解されない様にすること。
 (骨折や脱臼などの外傷と、医療保険が使えない肩こりや腰痛など慢性症状を区別せず表記していては、広告には使えない。)

③「骨折、脱臼、肩こり、腰痛」等、適応症を表記することは法的には認めてられていない。また、効果を示す例でビフォー・アフターの画像やイラスト等も広告には使えない。

④料金表示の広告については法令が認めていないので「初回無料」や、「〇分で〇円」、「チラシ
持参で〇円引き」、等の表現は広告には使えない。

以上4つの例を挙げてみました。また、厚生労働省のガイドライン案ではネット広告は規制対象
とはせず、整体やカイロプラクティック等も含めて自主的な取り組みを促す事になっています。
しかし広告が暴走する背景に、施術所の増加で競争が激しくなり、やむを得ず誇大な広告を使い
利用者を集めようとする実態があります。基本的な広告のルールを決めた上で、ネット広告も同
等に規制しないと混迷した状況が続くことになるのではないでしょうか。


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